自作問題3 like ABC conjecture
問題の下に元ツイート・補足(若干のネタバレ)・解答-解説(pdf)・類題・余談が載っています。気を付けてください。
問題
二つの問題のうちどちらか一つは恐らく未解決です
nを3以上の正の整数とする。正の整数の組が美しいとは、これらのうちどの2つも異なりかつ互いに素で、しかも を満たすことをいう。
(1) 任意の3以上の整数nに対し、美しい正の整数の組であって
>
をみたすものが無限に存在するか。
(2) 任意の3以上の整数nに対し、正の実数kであって任意の美しい正の整数に対して
<
をみたすものが存在するか。
ただし、正の整数cに対し、 でcの相異なる素因数の積を表す。
難易度: 一方 3- (IMO3番級) 他方 5+ (未解決枠)
元ツイート
2020/4/1
どちらかは自作問題(やや簡単)でもう片方はABC予想の一般化(未解決問題)です#自作問題 pic.twitter.com/QtbiJ3qsoM
— Katu (@Katu2ou) 2020年4月1日
補足
自作問題は(1)です。(2)はいわゆる強いABC予想を弱めた命題です。
現時点で、この予想はおろか、指数部分を正の実数に拡張した場合の主張も示されていません。(つまり、任意の美しい組に対して がの指数乗で抑えられることが示されていません。) (2)はその主張について項数を増やすところまで緩めたものです。
ちなみに、「強い」ABC予想と呼称されることが多いですが、(強くない)ABC予想とは別主張のの命題で包含関係は成立しないと思われます。(少なくとも自明な言い換えでは包含していることがいえません)
解答-解説
類題
1. は自然数の解を無限に持つか。
ABC予想の主張を使うと解けます
2. のとき、 をみたす自然数の組は存在しないことを示せ。
強いABC予想の主張を使うと解けます
3. 任意の 以上の偶数は つの奇素数の和で表せるか。
何を使っても解けません
余談
あまり見かけない形の問題になりました。かなり構築寄りですが、天才的な発想は必要ないと思います。解答のような抽象的な構築は可能なのですが、具体的な値での構築方法は見つけていません。ただしの場合は と簡単に構築できます。 の場合は修羅の道だと思います。
ちなみに作成日はエイプリルフールだったので未解決問題っぽい雰囲気の問題を上げようと思ってABC予想っぽい問題を作ったのですが、その2日後にABC予想の査読が完了したというニュースが上がって話題になっていたので震え上がりました。