Katu math

数学など

自作問題3 like ABC conjecture

問題の下に元ツイート・補足(若干のネタバレ)・解答-解説(pdf)・類題・余談が載っています。気を付けてください。

 

問題

二つの問題のうちどちらか一つは恐らく未解決です

 nを3以上の正の整数とする。正の整数の組(a_1, a_2, \ldots , a_n)美しいとは、これらのうちどの2つも異なりかつ互いに素で、しかも a_1+a_2+ \ldots +a_{n-1} = a_n を満たすことをいう。

(1) 任意の3以上の整数nに対し、美しい正の整数の組であって

a_n > \mathrm {rad} (a_1 a_2 \cdots a_n)

をみたすものが無限に存在するか。

 

(2) 任意の3以上の整数nに対し、正の実数kであって任意の美しい正の整数に対して

 a_n < \mathrm {rad} (a_1 a_2 \cdots a_n)^k

をみたすものが存在するか。

 

ただし、正の整数cに対し、\mathrm{rad} (c) でcの相異なる素因数の積を表す。

 

難易度: 一方 3- (IMO3番級) 他方 5+ (未解決枠)

 

 

元ツイート

2020/4/1

 

補足

 自作問題は(1)です。(2)はいわゆる強いABC予想を弱めた命題です。

 強いABC予想

任意の美しい整数の組 (a_1 , a_2 , a_3 )

 a_3 <  \mathrm {rad} (a_1 a_2 a_3) ^2

を満たす

  現時点で、この予想はおろか、指数部分を正の実数 kに拡張した場合の主張も示されていません。(つまり、任意の美しい組に対して  a_3 \mathrm {rad} (a_1 a_2 a_3) の指数乗で抑えられることが示されていません。) (2)はその主張について項数を増やすところまで緩めたものです。

 ちなみに、「強い」ABC予想と呼称されることが多いですが、(強くない)ABC予想とは別主張のの命題で包含関係は成立しないと思われます。(少なくとも自明な言い換えでは包含していることがいえません)

 

解答-解説

drive.google.com

 

類題

1.   n! + 1 = m^2自然数の解を無限に持つか。

ABC予想の主張を使うと解けます

2.  n\geq 6 のとき、 x^n + y^n = z^n をみたす自然数の組 (x,y,z) は存在しないことを示せ。

強いABC予想の主張を使うと解けます

3. 任意の 6 以上の偶数は 2 つの奇素数の和で表せるか。

何を使っても解けません

 

余談

あまり見かけない形の問題になりました。かなり構築寄りですが、天才的な発想は必要ないと思います。解答のような抽象的な構築は可能なのですが、具体的な値での構築方法は見つけていません。ただしn=3の場合は (1, 3^{2n-1}, 3^{2n} ) と簡単に構築できます。n \geq 4 の場合は修羅の道だと思います。

ちなみに作成日はエイプリルフールだったので未解決問題っぽい雰囲気の問題を上げようと思ってABC予想っぽい問題を作ったのですが、その2日後にABC予想の査読が完了したというニュースが上がって話題になっていたので震え上がりました。